
クレジット債務が多いと、カードの審査に通らないの?
そもそもクレジット債務って何?
クレジット債務の意味や、申込書に書くクレジット債務の具体的な金額、審査の影響などを一気に解説します。
- クレジット債務は、分割払いで商品やサービスを買ったときの支払い残高
- クレジット債務に含まれる分割払いの種類
- 申込書の年間予定利用額に記入する具体的な金額
- クレジット債務が審査に及ぼす影響
- 多額のクレジット債務を抱えたときの債務整理の方法
クレジット債務とは?カード会社がクレジット債務を知りたい理由
クレジット債務とは、商品やサービスを分割払いで買ったときに支払う金額のことです。
1回払い以外の支払い方法はクレジット債務に該当します。
クレジット債務となる支払い方法の種類
- 2回払い
- 分割払い
- リボルビング払い
- ボーナス払い(ボーナス一括払いは除く)
- フレックス払い

申込書の「クレジット債務の年間予定利用額」欄には、1年間に分割払いで使う予定の金額を記入します。
クレジット債務の記入欄がある理由は、カード会社が入会希望者の返済能力を知りたいからです。
すでに他社のクレジットカードで多額の分割払いやリボ払いを抱えている人に、新規でカードを発行すると自社のカードの支払期日までに返済できない恐れがあります。
確実に支払い期日までに返済できる入会希望者か、カード会社が判断するために書くものと覚えておきましょう。
クレカだけじゃない!?クレジット債務となる分割払いの種類

実は、クレジット債務に該当する分割払いはクレジットカードの分割払いだけではありません。
契約の種類にもよりますが、次の分割払いもクレジット債務に分類されます。
携帯電話の分割払い
スマートフォンや携帯電話、タブレットの端末代の支払い方法は、「月額料金に含めた2年間の分割払い」か「一括払い」から選べます。
分割払いを選んだときがクレジット債務に該当すると覚えておきましょう。
商品購入やサービス利用の分割払い
高価な商品やサービスの利用料金の分割払いの多くは、クレジット債務に該当します。
- 英会話・資格試験のスクールの授業料
- エステの利用料金
- 宝石やブランド品、美術品、家電、楽器、家具などの購入代
クレジット債務でない分割払いの種類

分割払いをするものがすべてクレジット債務になるとは限りません。
クレジットカードのキャッシング
クレジットカードを使って現金を借りるキャッシングは、クレジット債務ではありません。
同じクレジットカードの利用でも、割賦販売法が適用されるショッピングクレジットとちがい、キャッシングには賃貸業法が適用されるからです。
金融機関から借りた各種ローン
銀行や信用金庫、消費者金融など金融機関と個別に契約を結ぶローンは、分割払いでもクレジット債務の対象外です。
具体的には、次のローンがクレジット債務でないと覚えておいてください。
- 住宅ローン
- オートローン
- 奨学金
- 教育ローン
- ブライダルローン
- 事業用ローン
- 多目的ローンなど
ウソはダメ!正しいクレジット債務の年間予定利用額の記入方法
これまでの説明でクレジット債務の意味やカード会社が知りたい理由、クレジット債務となる分割払いの種類を理解できたことでしょう。
実際にカードの申込書の「クレジット債務の年間予定利用額」の金額をいくらにすべきかパ
ターン別に解説します。
1回払いしか使わない人

他社のクレジットカードと、これから作るクレジットカードで1回払いやボーナス一括払いしか使わない人は、クレジット債務がありません。
そのため、クレジット債務の年間予定利用額は0円と記入します。
「将来、分割払いで高価なものを買うかもしれない……。本当に0円で大丈夫?」と不安に思う人もいますよね。
安心してください。現状は1回払いしか使っていなくても、今後、分割払いが使えない
わけではありません。
将来。支払いに困ったときに分割払いを使いたい人は0円と記入しても大丈夫です。
初のクレジットカードで分割払いを使いたい人

今は、分割払いの残高はないけど、1年以内にクレジットカードやその他支払いで分割払いを使いたい人がこのパターン。
クレジット債務の年間予定利用額には、1年以内に使う予定の分割払いのだいたいの総額を記入してください。
たとえば、1年以内に次の分割払いの予定があるとします。
- クレジットカードのボーナス払いで20万円のブランドバックを買いたい
- ビジネススクールの学費30万円を10回払いで支払いたい
上記の場合、1年間で使う予定の分割払いの総額は50万円。クレジット債務の年間予定利用額には、50万円と記入します。
まだクレジット債務がないので、申込書の金額と実際の分割払いの総額に多少ちがいがあっても問題もありません。
すでに他社の分割払いを利用している人

他社のクレジットカードやその他サービスの分割払いの支払いが終わっていない人は、次の総額を計算してクレジット債務の年間利用予定額に記入します。
「分割払いの残高+今後1年間の分割払いの利用予定額」
たとえば、下記例のように他社カードで3つ分割払いを抱えていて、それに加えて新しく作るカードで分割払いを使う予定があるとします。
すでに分割払い中の他社カード | |
---|---|
A社 | 30万円の10回払いの残高が15万円 |
B社 | 10万円の5回払いで残高は4万円 |
C社 | 6万円の2回払いで残高は3万円 |
新しく作るカードで今後1年間の使いたい分割払い | |
D社 | 5回払いで10万円のパソコンを購入予定 |
上記の場合だと、クレジット債務の年間予定利用額は「A~C社の残高の合計22万円+D社に支払う予定の10万円=32万円」です。そのため、申込書には32万円と書いてください。
特にすでに分割払い中の他社カードの残高は、利用明細を見て正確な金額を記入する必要があります。
分割払い中の他社カードの残高を間違えると、審査に影響を及ぼす可能性があるからです。
記入したクレジット債務額が審査に及ぼす影響

記入したクレジット債務額の年間利用予定額が多すぎると、「支払い能力が低い」「滞納の恐れがある」とカード会社は判断して審査を落とす場合があります。
すでに分割払いを多数抱えていて、残高がたくさんあるので、審査に通るために年間利用予定額を少な目に書きたい人もいることでしょう。
これまで利用したクレジットカードや信販会社の支払い状況や登録情報は、信用情報機関(CIC)は登録されています。
そのため、クレジット債務の年間利用予定額を少なく書いても、カード会社はウソだとわかります。
その場合、クレジット債務の年間予定利用額を少な目に申告すると、カード会社から悪質な虚偽の申告と判断されて、入会審査に落ちる可能性もあります。
すでにクレジット債務がある人は、正直に申告するようしましょう。
多数のクレジット債務を抱えたときの債務整理
多数のクレジット債務を抱えて、毎月の支払いに困ったときは債務整理がおすすめです。
「任意整理」「個人再生」「自己破産」と3つの手続きを総称して債務整理と呼びます。
どれも借金が減らせて、金融機関からの請求をストップできる一方で、次のデメリットがあります。
- 信用情報機関の事故情報に記録が残る
- 5~10年間はクレジットカードやローンが利用できない
3つの債務整理の特徴を詳しく解説するので、多額のクレジット債務があり、毎月の支払いに困っている人はしっかりチェックしてくださいね。
任意整理

任意整理とは、クレジット債務の金利をカットもしくは金利分の返済を減らして、返済総額を少なくする手続きです。
弁護士や司法書士に依頼して、借入先と直接交渉するため、手続きに裁判所を通す必要はありません。
裁判所を通さないので手続きが簡単な反面、減らせる借金は金利分だけで元金は全額返済しなければなりません。
また、任意整理をするには以下の条件を満たす必要があります。
- お金を借りた人やその家族が、3~5年継続して借金を返済できる収入がある
- 返済意思がある
任意整理は借入総額が200万円程度の人や、周囲の人にばれずに借金を返済したい人におすすめの債務整理です。
個人再生

個人再生とは、裁判所の許可をもらって借金の総額を約1/5に減らす債務整理です。
金利だけでなく元金も減らせるので、任意整理よりも大幅に借金の返済額を少なくすることができます。
自宅や車など財産を手放して、借金返済にあてる必要もありません。
- 借入総額が5,000万円未満
- 原則3年で借金を全額返済(特別な事情がある場合は5年)
- 返済する意思がある
- 官報に氏名が載るので、周囲の人にばれる可能性がある
- お金を借りた本人が返済できなければ、連帯保証人が支払う義務がある
個人再生は5000万円未満のクレジット債務を抱えていて、財産を手放したくない人におすすめの債務整理といえます。
自己破産

自己破産とは、裁判所の許可を得て一定の財産を失う代わりに借金がゼロになる債務整理です。
収入のない人でも手続きができるところがメリットでしょう。
- 不動産や車、貴金属、金融商品など財産を換金しても返済不能な状態
- 借金の理由が浪費やギャンブル以外
借金が全額なくなる一方で、手元は生活に必要な最低限の財産しか残りません。
換金できる財産は、裁判所を通して借入先への借金返済にあてるからです。
官報に氏名が載るので、周囲にばれる心配もあります。
自己破産は、何をやっても借金返済がむずかしいときの最後の手段と覚えておきましょう。
まとめ:クレジットカードの利用は計画的に!
カード会社がクレジット債務の年間予定利用額を知りたい理由は、自社のカードで買い物してしっかり返済してくれる人か知りたいからです。
申込書に記入するときは、以下のパターンを参考にして、なるべく正確なクレジット債務の年間予定利用額を記入するようにしましょう。
- 1回払いしか使わない人:0円
- 初のクレジットカードで分割払い使いたい人:1年間の分割払いの利用予定額
- 他社の分割払いがある人:分割払いの残高+今後1年間の分割払いの利用予定額
特に他社の分割払いが残っている人は、利用明細をしっかりチェックしたうえで正確な金額を記入するようにしてくださいね。
多数のクレジット債務を抱えて返済に困っている人は、新しくクレジットカードを発行して、それで返済しようと考えてはいけません。
毎月のクレジトカードの支払いに困ったときは、債務整理で借金を減額する方法があります。
生活苦に陥る前に、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
そもそも多数のクレジット債務を抱えて生活苦に陥らないよう、クレジットカードは計画的に使うように心がけましょう。